日本語教師養成講座の選び方 その2 通学か否か

日本語教師養成講座の選び方  

通学か否かとは

 

 養成講座のなかには通信教育やイー・ラーニングなど通学しなくても良いものと決まった場所に通うものの2種類があるということです。

 

 理論はイー・ラーニングでというところがあります。私も今ある講座の講師をしています。そこでは理論はイー・ラーニングです。ビデオを受講生は自身で見て学びます。私は模擬授業を担当していて通学してきた受講生を直接指導しています。それぞれ良いところも悪いところもあると思いますが、イー・ラーニングの悪いところは、意外に進まないということです。見てもわからないといってほとんどの受講生がビデオを見てこないので話しにならないのです。

 

 それで模擬授業で通学してくる受講生に、ビデオを見る前に基礎を説明してあとでこのあたりのビデオを見てくださいといってみました。そうするとよくわかった、すっと頭に入ったとのことでした。

 

 今の高校生、大学生は衛星予備校の授業を見て受験勉強をした人も多いかもしれませんが、40代から60代の受講生にはちょっとなれるのに時間がかかるかもしれないですね。

 

 たとえば語学系の大学や大学院を出た方が日本語教育を学びなおすならイー・ラーニングは最適かもしれません。知っているところは早送りでも良いし、ご飯の用意をしながら聞き流しても良いでしょう。通学には片道2時間とかの人もいますから、交通費や通学時間はかなり負担が大きいでしょう。

 まったくの初心者ならイー・ラーニングより講師から直接聞いたほうがわかりやすいかもしれません。

 

 昔、言語学記号論でわからん!!!と怒りだした初老の男性がいました。ある意味わからなくても日本語は教えられるから、ま、我慢してきいてくださいとしかいいようがなかったです。420時間は、理論系と実習系の科目に分かれるのですが、理論系は本当に難しい用語が並んでいます。

 シニフィアンとかシニフィエとかいわれてもわかりにくいですよね、でも「信号が赤なのに渡っただろ」と怒っている人がいたら、それは「赤は止まれ」という共通の意味を持っているということを前提にしているわけです。靴の色が赤い場合と信号が赤なのはまったく意味が異なります。シニフィエは信号の…とながなが説明すると「もうええわ!」みたいな感じで授業はおわりました。

 音声学もわからない人にはわからないのです。高層ビルのエレベーターの下りを知らせるピンポーンと上りを知らせるピンポーンが明らかに違う音であることを気づかない男性がいて、音声学の際、大変苦労していたことを思い出します。

 これがイー・ラーニングだったら心が折れてしまうかもしれません。でもイー・ラーニングは何度でも繰り返し聞けるんですよね。ただ、わからんと思ったことを再度聞いてみようという研究熱心な人は日本語教師養成講座に通わなくても良いでしょう。

 

結論

①時間がない

②近くに講座がない

③かなりすでに日本語教育の知識を持っている

④PCに慣れている

こんな人はイー・ラーニングを選ぶのも良いかもしれません。

 

 それ以外の初学者はイー・ラーニングより直接受講したほうが良いのではないでしょうか。ただしあまり知識のない講師に当たったら3時間最悪ですね。昔、私はある養成講座で採用後にひととおり全部受講してくれといわれたことがあります。授業の質を均一化したいからだといわれ、1日行って私にはこれを黙って後ろで聞いていることはもうできないとやめさせてもらいました。一日分の日当はあとでいただきました。時給2,000円もなかったんだったかな。

 日本語教師養成講座の理論はものすごい量ですよ。教えていたとき1日に3時間を3箇所でやって本当に疲れました。でも内容は、暗記するほど身体にしみこんでいると思います。イー・ラーニングもしみこむほど聞いたらいいんです。

 次回は日本語教師養成講座出身の先生はどの程度いるかについて書きます。

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